トランス女性の私が乳がん検診で言われた「心配いりません」のひとこと
はじめに
私はホルモン補充療法を受けているトランスジェンダー女性です。
乳腺が発達している以上、乳がんのリスクがまったくないとは言い切れません。だからこそ、毎年の健康診断の際に、乳腺エコーをオプションで追加しています。2025年5月の健診でも、いつもと同じように乳腺エコーを受けました。
予想外の通知
6月の初め、会社経由で健康診断の結果が届きました。そこには「要精密検査」の文字。
目を疑いました。今まで引っかかったことは一度もなかったし、正直、何が原因なのかまったく心当たりもありませんでした。
通知には「乳腺異常(乳管内乳頭腫)」と記載されており、詳細な説明はなく、不安がじわじわと広がっていきました。紹介状を受け取り、大学病院での再検査を予約することにしました。
大学病院での再検査
そして、昨日。大学病院の乳腺外科を受診しました。
まずは問診があり、「しこりや分泌など、自覚症状はありますか?」と聞かれましたが、私は何も感じていませんでした。
続いて乳腺エコーによる検査が行われ、技師の方が丁寧に時間をかけて診てくれました。
検査後、医師からこう説明されました。
「両側の乳腺に、ごく小さな腫瘍が見られました。ただし、乳管内乳頭腫と診断するには非常に小さい段階で、現時点で心配する必要はありません。年に1回の乳腺エコーで経過を見ていけば大丈夫です。マンモグラフィなどの追加検査や治療は必要ありません」
安心と拍子抜けと
その言葉を聞いて、50%は安心、でも50%は拍子抜け。
不安な時間を過ごしたからこそ、もっと何かあるんじゃないかと構えてしまっていた分、気持ちの落としどころが難しい感覚でした。
トランスジェンダーとして受診して
医師や看護師から、私がトランスジェンダーであることについて特別な質問をされることはありませんでした。
性別で戸惑われるような様子もなく、一人の患者として終始丁寧に接していただけたのは、本当にありがたいことでした。
こうした安心感のある医療体験が、もっと広がってほしいと感じます。
自分の体を守るために
今回あらためて思ったのは、自分の体を守れるのは自分だけということ。
ホルモン治療を受けている以上、乳腺の変化や腫瘍のリスクは無視できません。
だからこそ、定期的な検診を受けることは、未来の自分への責任だと強く思います。
おわりに
今回の検査結果は「要観察」でした。
すぐに治療が必要というわけではないけれど、見過ごさずに「知る」ことができたのは大きな意味があったと思います。
同じようにホルモン補充療法を受けている方、あるいは受けようとしている方に、ひとこと伝えたい。
検診は大事だよ。ちゃんと年1回受けよう。